生活環境での吃音の要素

生活環境も吃音と密接な関係がありますが、一言に生活環境といってもさまざまなケースがあります。例えば、家族に吃音者がいる環境で育つと、お子様に吃音がでてしまう場合もあります。また、両親の離婚や虐待を受けるなど、生活環境からストレスを受けることで吃音になってしまうこともあります。ですので、生活環境とひとくくりにするのではなく、原因になっている要素を分析することが重要です。

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生活環境での吃音の要素

「吃音」とストレスの関係でもご紹介したように、生活環境の中でストレスを感じたり吃音の原因になってしまう要因はさまざまです。細かくチェックしていく思い当たることがいくつもありませんか?ここでは自宅や家庭内での生活に関連する要素を分類してみます。

身体的要素

居住環境要素 生活導線・掃除・寝具など
生活行動要素 不規則・睡眠不足・入浴など
食生活要素 偏食・食事時間など
物的要素 パソコン・スマホ・テレビ・ゲームなど
人的要素 家族の吃音・会話の有無など
身体的要素 持病・虫歯・歯並び・近視など

精神的要素

長期間に渡る要素 金銭面・隠し事・悩み事など
短期間で経験する要素 事故やケガの恐怖体験・トラウマなど
無意識に感じている要素 将来の不安・我慢など

 

居住環境要素

まず、生活している住居や家具などに関連する要素です。
最初に生活導線が適正どうか再確認してみましょう。慣れて気にならなくなってしまいますが、それが逆に身体的なストレスを与えてしまっている場合があります。特に毎日の事なので、知らずに積み重なっています。例えば、入浴前後。バスタオルはすぐ届く場所にあるか?下着やパジャマは探しやすい場所にあるか?など再確認してみてください。料理をする場合、キッチンの高さは合っているでしょうか?食器や調理器具は取りやすい場所になっているでしょうか?後片付けしやすい配置になっているでしょうか?これがらできていないため、無意識のうちに外食やコンビニ弁当で食事を済ませてしまっているかもしれません。掃除関連のものも同様です。掃除機が出しにくい場所にあるために掃除が億劫になってしまい、なかなか掃除できないという事もあります。また、衣類の収納も重要です。収納方法や収納場所が適正でないために、朝洋服を選ぶのに時間が掛かってしまっていないでしょうか?こちらも毎日のことですので知らずに積み重なってしまいます。収納スペースが不足していて洗濯物が入り切らないという事もあります。そのため、洗濯をするモチベーションが下がってしまう事もあります。
次に、掃除や片付けです。一人暮らしや共働きの場合、なかなか掃除が行き届かずに常に散らかっているという方も多いでしょう。ですが、散らかっている事自体身体的にも精神的にも負担になります。片付いていないためにものを探す時間も増えてしまいますし、チリやほこりを吸い込んで直接健康を害してしまう可能性もあります。精神的にも、帰宅しても休まらないばかりか、掃除できない罪悪感を感じてしまいます。
更に、意外に見落とされているのが寝具です。布団やベッドがあっているか?枕が合っているか?もう一度確認してみてください。熟睡できなかったり夜中によく目が冷めてしまっている場合、寝具に原因がある事もすくなくありません。また、寝具を清潔に保つことも大切です。男性の場合、枕に自分の臭いが染み付いているのを感じる方多いでしょう。常に清潔にして気持ちよく床に着くだけでもよく眠れて身体的にも精神的にもバランスを保つことに役立ちます。

生活行動要素

次に、日頃の行動パターンに関連する要素です。
まずは不規則な生活です。毎日違う時間に就寝・起床をすると、自分が思っている以上に身体がダメージを受けてしまいます。週末に寝貯めするという方も多いかもしれません。しかし睡眠は貯めることができませんし、少なすぎても多すぎてもいけません。週末に寝貯めしたために、日曜日の夜に眠れなくなったという経験はないでしょうか?次の日が会社や学校だと思えば思うほど眠れなくなり、睡眠不足のまま月曜日を迎えてしまうという経験も少なくないでしょう。
また、無意識に良くない行動パターンになってしまっていることもあります。例えば入浴。一人暮らしの方などはほとんど毎日シャワーで済ませてしまっていませんか?夜はそのまま寝てしまい朝にシャワーを浴びるという生活パターンになってしまっている方も多いでしょう。湯船に浸かることで血行を促進するだけでなく、皮膚の老廃物の代謝を促し、精神的にもリラックスできる効果もあります。逆に長風呂も逆効果です。ダイエットやアンチエイジングのために30分以上湯船に浸かる方もいるかもしれませんが、長すぎる入浴も身体にダメージを与えてしまいます。熱すぎるお風呂の同様です。41度を超えるような湯船は、逆に眠りを浅くしてしまいます。
このように、一日の行動パターンを思い浮かべ、実は身体的に負担を掛けてしまっている事がないかどうか再確認してみてください。

食生活要素

食生活も重要な要素です。
まず、規則正しく3食とっているか思い浮かべてみてください。そして食事をとる時間。特に夕食は遅くなったり毎晩違う時間にとっていないでしょうか?また、外食やコンビニ弁当は多くなっていないでしょうか?外食は満足感を出すために敢えて濃い目の味付きになっていますので、毎日の食事には適していません。コンビニ弁当も同様ですし、毎日だと飽きてしまい食欲もなくなってしまいます。食事の速さも大切です。忙しさのあまり早食いになっている方も多いでしょう。早食いは消化が悪いだけでなく、満腹感が得られないので量が増え、肥満の原因になりますし、食事が楽しいという感覚を忘れてしまいます。そして何より栄養のバランスです。とかく炭水化物や糖質の多い食事に偏りがちですが、タンパク質やビタミン・ミネラルなども意識して栄養のバランスを心掛けましょう。
最近ではコーヒーやエナジードリンクの飲み過ぎによるカフェインの過剰摂取が多くなっています。慢性的なカフェイン中毒は、自分でも気付かないうちに食欲がなくなったり睡眠が浅くなったりしてしまいます。しかも、カフェインの効果がだんだん薄れてきますので、量がどんどん増えてしまいます。もしコーヒーやエナジードリンクを日常的に飲んでいる方は、時間を決めたり1日何本というルールを作って無制限に増やさないようにしてみてください。

物的要素

最近特に影響が大きくなっているのが、電子機器の影響です。パソコンやスマホのディスプレイは、実は高速で点滅していて、これはかつて人類が経験したことのない刺激を脳に与えていると言われています。そのため、長時間見続けると、無意識に興奮状態になってしまい、怒りっぽくなってしまったり寝付きが悪くなってしまったりします。思い当たる方も多いのではないでしょうか?テレビやテレビゲーム、ゲーム端末なども同様です。ですので、時間を決めたり、定期的に休憩を取るなど工夫して長時間に続けないように心掛けましょう。
寝る前にベッドの中でスマホを操作する方も多いと思いますが、睡眠に与える影響は甚大です。寝る寸前でのスマホ操作はできるだけ避け、ディスプレイは極力暗くなるように設定してください。
また、仕事でどうしても1日中パソコンを操作しなければならない方もいます。その場合、保護フィルムを使用したり、パソコン用の保護メガネを使うなどしてください。きっと会社の経費で購入してもらえるはずです。また、定期的に目を休め、椅子の上でできるストレッチなどを行って気分転換もするように心掛けてください。

人的要素

次に、物ではなく人から受ける要素です。
最も大きな影響を受けるのは家族で、特に大きなのは親の影響です。よく吃音は遺伝すると言われますが、吃音の遺伝に関しては医学的に証明されていません。逆に、遺伝ではなく親の話し方を見て子供が影響を受けているのではないかというのが有力な考え方です。吃音ではなくても、おしゃべりな家族の子はおしゃべりだったり、早口な親の子も早口だったりと感じたことはないでしょうか?これと同じ現象だと思ってください。特に幼少期での吃音のきっかけは、家族の吃音が関係しているケースがすくなくありません。
また、吃音を発症した場合の親や家族の接し方も重要です。無意識のうちに家族が吃音ということを意識させたりレッテルを貼ってしまっている場合がよくあります。吃音が出てしまった際、「もう一度言ってごらん。」「もっとゆっくり話してみな。」などという言葉を掛けてしまいがちですが、本人がまだ吃音の自覚がなかったり、認めたくないという場合、このような言葉は間接的に吃音だという事を意識させ、話し方を直させようとしてしまっています。大人の吃音者の場合、このような経験が幼少期になかったかどうか思い浮かべてみてください。お子様の吃音に悩んでいる方の場合、このような言葉を掛けてしまっていないかどうか確認してみてください。
更に、そもそも会話がないという家族も増えています。家族がいてもテレビやスマホに夢中で会話がないという方も多いのではないでしょうか?吃音症はコミュニケーション障害の一種に分類されている通り、まずはコミュニケーションを取ることが重要です。会話をすることでコミュニケーションの幅も広がり、言葉の引き出しも増えていきます。お子様の場合も同様です。男の子の場合、学校での出来事を何も話さないという子が多くいますが、これは家族内の会話が少ない場合がほとんどです。意外に見落とされているのが、夫婦間の会話が少ないということです。お子様はお父さんとお母さんの会話が意外に聞いているもので、そこから言葉や表現方法を学んでします。ですので、夫婦の会話が少ないほど、お子様の会話能力も成長していきません。また、家族の会話がないのに自分の話しをしようとは思わないでしょう。ですので、まずは家族内の会話を増やし、家族内コミュニケーションを高めていくことが第一歩です。

身体的要素

次に、身体に関わる要素です。
長年に渡る持病を持っている場合など、身体的にも精神的にも負担がかかり、それが一因となって吃音を悪化させてしまうことがあります。例えば、アトピー性皮膚炎の場合、断続的にかゆみに襲われるという直接的な負担が長期に渡ります。それだけでなく、見た目へのコンプレックスやいつ治るか分からないという不安が常につきまとってしまいます。
虫歯や歯並びが悪い場合では、かみ合わせが悪いことで実は分からないところで身体的な負荷が掛かっています。人前で笑うことに抵抗がある方も多く、その結果人とのコミュニケーションに支障をきたしてしまう場合もあります。
近視など視力が低下している方も同様です。メガネやコンタクトを手放せないという負担もさることながら、人の表情を読み取れない不安が吃音の一因になっている場合もあります。
その他にも、成長過程で身体のバランスが乱れ、吃音を発症したり、身長・肥満・ホクロなど身体的特徴がコンプレックスとなって吃音が悪化してしまう場合などもあります。身体的要素は自分の努力で克服できない場合がほとんどですが、このようなことも要素の1つだと自覚しておくことで総合的な改善策が見えてきます。

長期間に渡る要素

次に、精神的要素の中で長期間に渡るものを例にあげてみます。長期間に渡るものでは不安や悩みなどがあげられます。
例えば、最も多いのが金銭的な悩みや不安です。表向きは人並な生活を送っているように見えて、実は毎月やりくりに苦心しているという方は少なくないでしょう。お金は人を変えてしまうというほど、金銭的な悩みや不安は深刻です。もし借金はカードなどの返済に悩んでいる方だとしたら、24時間そのことで頭がいっぱいになってしまいます。行き詰まると喜怒哀楽もなくなってしまい、周りからおかしいと思われるようなケースもよくあります。金銭的な悩みや不安は、誰かに相談しても解決しないものです。もし収入が少ないという悩みの場合、転職を考えるなどして一歩踏み出すことがおすすめです。借金などの返済に悩んでいる場合、とにかく返済しないと解決しませんので、身内に協力してもらうなどして返済を考えてみてください。
また、隠し事をしている場合なども同様です。隠し事は深刻なものであればあるほど家族や親友にも相談できないものです。それに、一人で抱え込めば抱え込むほど悩みが大きくなってしまいます。このような場合、電話でのカウンセリングなどがおすすめです。面識も利害関係もない第三者なら意外に相談できるものですし、話すことで悩みが軽減されます。

短期間で経験する要素

一生忘れられない恐怖体験やトラウマ体験などが原因で吃音になってしまう場合もあります。1つの要因で吃音になってしまうという事はあまりありませんが、このような経験がベースとなり、複数の要素は積み重なってしまっているケースはよくあります。
最も多い傾向にあるのが、幼少期での両親の離婚です。離婚の原因はさまざまですし、考慮の上での離婚がほとんどだとは思いますが、多感な時期での両親の離婚は当然大きな精神的ショックを与えてしまいます。離婚には、それともなう転居や転校、生活習慣の変化、義母や義父との生活などがありますので、これらの複数要因が離婚と吃音に関係していると考えられます。
また、家族の死などにショックを受け、吃音を発症してしまうこともあります。神戸連続児童殺傷事件の犯人、通称酒鬼薔薇も、祖母の死でショックを受けたという事は知られていますが、彼も吃音者だったと言われているようです。
事件や事故に巻き込まれるなど恐怖体験が原因になってしまうこともあります。特にお子様の場合、このような体験の直後に吃音になってしまうこともすくなくありません。交通事故に遭った子供が一時的に言葉を話せなくなってしまうことがよくあるようです。
このように、1つの出来事や体験がきっかけとなったり、心の底に残っていて吃音として表れる場合もあります。こちらは拭い去ることは難しい場合もありますが、このような経験がなかったかどうかをかえりみるだけでも有効です。

無意識に感じている要素

無意識にストレスを感じてしまっている要素も多くあります。これらを分析し、意識させたり軽減させたりするころでも吃音改善には有効です。
まず1つは無意識に我慢しているということです。例えば、妻や家族に対して我慢していることはないでしょうか?いつも不満に思っていても、諦めやトラブル回避のために黙って我慢していることなどないでしょうか?このような事が自分にとって意外に大きなストレスになっている場合もあります。定期的に不満をぶつけ合う日を作るなどして、溜め込みすぎないようにしましょう。
また、漠然とした不安を抱えていることもよくあります。「将来年金はもらえるのか」「退職金で老後生活できるのか」「うちの子は将来大丈夫か」などといった、悩みこむほどではないものの、漠然とした不安を抱えている方は多いでしょう。このような不安も解決することは難しいですが、誰かと話し合い不安を共有するなどすれば軽減されるはずです。

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