「どもり」「吃音」のタイプと4つの原因

一言に「どもり」や「吃音」と言っても、さまざまなタイプが存在しています。子供によくみられる「どもり」から、大人になって現れる「吃音」など、時期もひとそれぞれです。
また、症状や重度も異なり、その原因もいろんな要素が絡み合っている場合もあります。そこで、「どもり」「吃音」の原因を整理してみました。お子様の「どもり」「吃音」で悩んでいるお母さん、もしかしたら原因はあなた自身かもしれません。

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吃音の原因についての歴史

吃音の同意語である「どもり」は、現在では差別用語として扱われていてマスメディアでは放送禁止用語にもなっています。これには「どもり」が過去どのように扱われていたのかにも関係しています。
ローマ時代では、「どもり」は悪霊に取りつかれた人に表れると信じられていて、差別の対象になっていたと言われています。19世紀になると、身体的な異常が原因とされたり、神科医などによって神経症の一種であるという考えも出てきました。また、どんぐりを食べるとどもりなるといった迷信も信じられた時期もあったようです。更に、舌が短いことが原因と考えられた時期もあり、「舌ったらず」という言葉もここから生まれてきたと思われます。
これらのほとんどは否定されていますが、吃音の原因を1つに特定することはできません。現在では、吃音の原因はいくつかの要素があり、複数の要素によって表れると考えられています。

吃音の4大要因

現在でも吃音の原因は1つに定めることはできませんし、様々な学説が発表されては否定されたりしています。しかし、これらを分類すると下記の4つに整理することができます。

1.心理的要因

過去のストレスやトラウマ経験など心理的要因がきっかけで吃音となるケースです。厳しいしつけや学校でのいじめなどで吃音となる場合、これに当てはまります。子供の場合、大事な人の死や両親の離婚など心理的に大きなショックを受けた後に突然吃音が表れる場合もあります。中には左利きを右利きに矯正したことで無意識にストレスを受け続けて吃音を発症するケースもあります。また、他人から吃音であることを指摘されたり、自分で自覚したりすることによってストレスが増し、更に悪化してしまう悪循環にも陥ります。この心理的要因が吃音の原因で最も大きなウェイトを占めていると考えてもいいでしょう。

2.環境的要因

取り巻かれている生活環境の中で吃音になるのがこのケースです。両親に吃音者がいる場合、子供が知らずにまねをして吃音になってしまう場合などがこのケースです。遺伝と思われがちですが、幼少期からこのような環境で言語を習得していく場合などは環境的要因と考える方が自然かもしれません。また、吃音者のまねをしているうちに本当に吃音になってしまうというケースもまれにあります。

3.遺伝的要因

両親や親族に吃音症の方がいる場合、子供にも遺伝すると考えるのがこのケースです。親族に吃音症の方がいる場合、吃音になる確率が高いという論文が発表されたり、吃音になる遺伝子が特定できたという論文も発表されたりしています。しかし、こちらはまだ賛否があるのが現状です。前述の環境的要因と区別するのが難しく、いまだに遺伝的要因は科学的に証明されるに至っていません。

4.脳の要因

脳や伝達神経の一部に以上がある場合に発症するのがこのケースです。特に重度の吃音症の場合、この可能性が高くなります。交通事故などの後遺症で吃音症を発症する場合でもこのケースに当てはまる場合が高くなります。近年の研究では、言葉を発している時の吃音者と非吃音者で脳の活性化している部分が違ったり、ドーパミンの分泌量が吃音者が多いなどの論文も発表されています。しかし、それ自体の原因がストレスや過去のトラウマである場合もあり、こちらも心理的要因と切り分けるのが難しい場合が少なくありません。

発症時期で見る吃音症

次に、発症する時期で分類すると、吃音症は2種類に分類することができます。これにより、ある程度原因を想定できるようになります。

発達性吃音

幼児期に発症するのが「発達性吃音」です。ほとんどの場合、2歳~5歳の幼児期に発症します。吃音症の90%がこのタイプだと言われています。幼児期では、言語が未発達で言葉の数も少ないため、話そうとしていることがうまく言葉にできずに考えてしまいます。
そのため、「お、お、お、お、お、おはよう」という連声型ではなく、「おーーーーはようございます」という伸発型や「・・・・・・・・おはようございます」という無声型として症状が表れます。
ほとんどは小学校低学年までに自然に治っていくますので、幼児期では気にし過ぎないのが重要です。誰かにそれを指摘され、それを本人が気にするようになることで悪化したり治らなくなったりする場合があります。

獲得性吃音

青年期以降に発症するのが獲得性吃音症です。主に大きなストレスやトラウマが原因で発症します。最近の研究結果の1つに、脳の代謝物質の影響を受けているという説がありますが、現在でも研究が続けられている最中です。青年期以降に発症すると、本人にも吃音の自覚がありますので、そのショックを受けて話すときにプレッシャーがかかり、更に悪化していく場合もすくなくありません。

吃音の進行度

吃音は、進行度によっても4つに分類することができます。一概にどこに当てはまるかを分類することは難しいですし賛否はあると思いますが、進行度が進めば進むほど原因も複雑化し対処法も変わってきます。ですので、目安としてとらえ、参考にして頂ければと思います。

進行度1

「こ、こ、こんにちは」「こーんにちは」というように、軽い先頭文字の繰り返しや引き延ばしが見られるケースです。この際、話し方に力みなどがなく、本人も自覚していない状態です。

進行度2

進行度1が少し進行した状態で、繰り返しや引き延ばしが長くなった状態です。本人にも吃音の自覚があり、話す際にも力みが見られるようになります。

進行度3

言葉がなかなか出てこなくなった状態です。話す際に表情がこわばってしまったり、言葉を発する際に手を振ったり首を動かしたりする動作が表れます。言葉を察する際に、またどもってしまうのではないかという不安にかられてしまう状態になります。

進行度4

話すことを避けてしまう状態です。言葉を発することに恐怖を感じ、ほとんど話すことを拒否してしまいます。周りとのコミュニケーションにも支障をきたしてしまう状態です。

お子様の吃音の原因

お子様の吃音は珍しいものではありません。吃音の男女比率は4:1と言われていますので、特に幼少期の男の子の吃音はほとんど心配する必要はないでしょう。問題は、「うちの子吃音かな?」と思った際の大人の対応です。アメリカの吃音研究で知られた心理学者ウェンデル・ジョンソンは、「吃音はこどもの口から始まるのではなく、親の耳から始まる」という言葉を残しています。ことばを繰り返したり、引き伸ばしたりする話し方は、2歳~3歳の子供に共通した正常な範囲のことばのなめらかさの不足であり、その話し方に対して両親、特に母親が『どもり』というレッテルを貼ってしまう。つまり、『どもり』と診断した後から、どもりが起こると説明しました。意外かもしれませんが、吃音が出てしまったときに、「もう1回言ってごらん」「ゆっくり話せば大丈夫」などの言葉をかけて言い直しさせるのは禁物です。また、子供の言いたいことを先回りしてしまうなどの行為も逆効果です。吃音を否定的に捉えて変に意識させるのではなく、吃音を意識させないことが大切です。

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